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らっきょSS 小ネタ
空の境界文庫版全巻出版記念……という訳でもないですけれども。
なんとなく、織で遊んでみたくなったので、小ネタを殴り書いてみたり。

脇役会議時空の不思議空間ですので、織が平気で生きているのはご愛敬(おい。



雑記用小ネタ。(脇役会議 超番外編)

「式が織だったら、それはそれで萌えるのか? 黒桐」
「え?」
大半の仕事を片付けて、コーヒーをすすっていた僕に、いきなり橙子さんが独り言のような口調で問い掛けた。

「何か言いましたか? 所長」
「いや、ちょっと空の境界(上)を読み返していたんだが」
「……はい?」
「ああ、新書版じゃなくて文庫版のほうだぞ」
そう言って彼女が手にして見せたのは、一冊の文庫本。
その表紙には抜き身のナイフを手にした式の凛々しいイラストに「空の境界(上)」の文字。
……っていうか、なんなんだ、その本は。

「……えーと」
「ちなみに今の私は文庫版仕様……というか、映画仕様だからな。
 ほら、ちょっとこの辺り、ふくよかだろう?」
「…………そうですね」
自分の胸を心持ち嬉しそうに指さす橙子さんを横目に、僕は深々とため息混じりに頷いた。
どうやら、今回は「そういう類の話」らしい。ならば、これから何が起きようと狼狽えまい。秋隆さんが天井裏から出てこようが、改造された学人が乱入してきようが、「そういうものだ」と受け入れるしかないのだろう。

我ながら諦観と言うよりは悟りに近い心境で覚悟を決めてから、僕は髪を後ろの縛った橙子さん(増量中)に問い掛ける。

「それで織がどうかしたんですか」
「いや、なに。ヒロインとしては織の芸風も面白いんじゃないかと思ってね」
「芸風って……そりゃ式とは違うでしょうけれど。でも、式と織は基本的に考え方は同じですよ?」
根本的な魅力には差が出ないのではないのか、と首をかしげてみせると、橙子さんは「分かってないね」と揶揄する口調で笑った。

「根っこの部分は同じだろうね。でも、行動の優先順位が違うんだろう?」
 ほら、と言いながら橙子さんが文庫本のページを指さした。指し示されたのは「殺人考察(前)」の一節。確かに、織と式では行動の優先順位が逆、とは書いてあるし、僕も彼女にそう言われたけれど。

「それがヒロインとしての芸風にどう関係するんです?」
「ツンデレか、素直クールかの違いだよ」
「……なんです。それは」
つんでれに、すなお……何だって?
聞き慣れない単語に眉をひそめると、橙子さんは少しあきれたように肩をすくめて見せた。

「知らないというのうは不勉強だね、黒桐。君らしくもない。
 いくら90年代の登場人物だからといって、2000年代の知識の吸収を疎かにするのは感心しないぞ」
「自分がどれだけ理不尽な台詞を口にしているのか自覚はないんでしょうね」
「無論だ」
胸を張って僕の皮肉を受け流すと、橙子さんはニヤリ、と心底愉しげな(僕にとっては不吉な)笑みを口元に浮かべる。

「まあ、論より証拠、というしな。実践してみた方が早いだろう。ということで、織。出番だよ」
「え?」
ぱちん、と橙子さんが指を鳴らす音と、僕の戸惑う声、そして、事務所のドアが開く音は同時。
まさか―――という思いに、思考が停止したまま僕が振り向いた先には、

「よっ、コクトー」
なんて、軽いのりで片手をあげて微笑む「彼女」の姿があった。
着物の上に、赤い革ジャン。ざっくりと切った黒髪に、吸い込まれるような黒の瞳。その姿はどこからどうみても式そのものであり、でも、その雰囲気は明らかに彼女ではなく―――。

「し、織―――なのか?」
「そうみたいだな。なんか、脇役会議ってところからお呼びがかかってさ」
驚愕に目を開く僕に、あくまで軽い口調で答えながら、「彼女」は橙子さんを横目に見ながら笑う。

「魔術師だかなんだかしらないけど、死人を起こすなんて無茶も良いところだ」
「なに、所詮は今は舞台裏だからね。あまり生死に拘泥する必要もないさ」
平然と、無茶も極まる台詞を応酬する橙子さんと織。その二人の様子に、なるほど、どうやら本当に今回は「そういう話」らしい、と僕は本格的に覚悟を決めた。
……まったく、織の言うとおり。無茶も良いところだ。

「まあ、あんまり気にするよ。コクトー。おかしな話なんだから、まじめに考えても損するだけだぞ」
「……そうみたいだね」
からかうような、諭すような織の声に僕はため息混じりに頷いた。
本当にむちゃくちゃも良いところだけれど……まあ、こういう話ならこういう話で受け入れても良いかなって、思う自分もいることだし。どんな理由でも、冗談でも。また、こうして織と言葉が交わせるのなら。今の理不尽にしばし目を閉ざすくらいは、許されても良いって思うから。

「それよりコクトー」
「え?」
 そんな感傷めいた気分に浸っていた僕の思考を、織が名前を呼んで引き戻す。

「せっかくこういう機会が出来たんだからさ。おまえに言いたいことあるんだ」
「言いたいこと?」
「好きだ。えっちしようぜ」
「………………へ?」
今、何を。
彼は、平然と言ったのか。

さらり、と本当に今までの会話の延長線上で告げられた言葉。その意図が理解できずに、刹那、時間が止まる。

「………………」
「コクトー? 寝てるのか?」
思考が飛んで硬直する僕の頬をぺちぺちと叩く織の手。その感覚に、これが夢じゃない(いや、まあ夢みたいなものなんだけど―――)と判断して、その瞬間、凍っていた思考が一気に溶けて、その反動で波打ち、はねた。

「し、し、織?!」
「起きたか。立ったまま寝るなんて器用だね。そんな真似、いつの間に出来るようになったんだ? コクトー」
「寝てたんじゃない! 織、君、今なんて……っ」
「だから、えっち―――」
「うあああ、女の子が人前でそんな事言っちゃいけません!」
平然と件の台詞を繰り返そうとする織の口を手で閉ざして、僕は大あわてで橙子さんに向き直る。

「と、橙子さん!」
「萌えたか?」
「萌えたか?、じゃ、ありません! 織に何を言わせてるんですか、何を!」
「こういうのを「素直クール」と言うらしい。勉強になったか?」
「人の話を聞いてください!」
いくらなんでも無茶苦茶だ。そう橙子さんに詰め寄ろうとした僕を、しかし、遮る声があった。

「心外だな。別に、魔術師に言われたから言った訳じゃないぞ」
「え?」
拗ねたような織の声。
その声に僕が彼女へと視線を戻した瞬間、織は僕の胸に倒れ込み、顔を埋めた。

「し、織……?」
「仕様がないだろ。こんな馬鹿みたいな話でも、織は式なんだから」
僕の胸の中でそう呟きてから、織がそっと顔を上げた。
見慣れた「式」の顔に、浮かぶ「織」の拗ねた表情。その表情に僕が一瞬見とれて言葉を失う間に、更に織が言葉を重ねる。

「なあ、コクトー」
「な、なに?」
「式なら「こういうやり方」、絶対しないだろ?」
「うん。まあ、ね」
式なら、こんな直球の台詞、こんな場所で、こんなに率直になんか、言えない。

「でもさ、織の行動順位は、式と逆なんだ。知ってるだろ」
「……うん」
覚えてる。それは織と最初に出会ったときに彼女自身の口から教えてもらった式と織の行動ルール。

「だから、俺。こういうやり方しか、できない。式のやりたいようには、できないんだ」
責めるように、拗ねるように、焦れるように。いろんな感情を織り交ぜて、織がその目で僕を見つめた。

「こういうの、嫌い、か……?」
「いや、そうじゃないけど……」
「それに、さ。これって、お前も悪いんだぞ、コクトー」
「僕が……?」
「そうだよ。式がここまで、お前のこと好きになってるから。俺だって、その、こういう気持ちになるんだ。
 織は式がやりたいことしかやれない。織がすることは式がやりたいことだから」
「あ……」
ただ、それを行う方法が、織と式では違うだけ。
誰かを遠ざけたいときに、式は告げず、織は告げたように。
誰かに近づきたいときにも、式は告げず……こうして、織は、告げる。

「だから、さ……コクトー」
だから、悪いのは僕だって。小さく囁くように言葉を零して。

「……えっち、しよう?」
「……っ」
僕を見つめる織の、その瞳に吸い込まれるように僕がわずかに心を揺らした―――その、刹那。

「しよう?、じゃないわよ!」
鬼気迫る声が、事務所の中で響き渡った。

「し、式?!」
声に振り向けば、鬼の形相をした式が、そこにいた。

「ちっ、もう来たのか―――」
「織……あなた、何を考えてるのよ!
 いくらあなたでもお茶に睡眠薬を仕込むなんてどういうつもりなの?!」
「ああもあっさりと飲んでくれるとは思わなかったよ。緊張感が足りないんじゃないのか? 式」
並々ならない怒気に声を震わせる式。が、そんな式にも一向にひるむようすもなく、飄々と織は肩をすくめる。

「この……、と、とにかく幹也から離れなさい! 織!」
「嫌だ」
「なっ」
「いいだろ、久しぶりの出番なんだ。こういうときぐらいコクトーの事、譲れよ」
「だ、駄目よ。いくら、織でも、そんなこと―――」
「なんでさ。コクトーは、式でも、織でも良いって言ってくれたぞ。そうだよな、コクトー?」
「え?」
「え?」
兄妹喧嘩なのか、姉妹喧嘩なのか、判然としない言い争いの中、いきなり話を振られて僕は一瞬、硬直した。
そして、同じく一瞬硬直した式が、ぎぎぎ、と擬音が聞こえるぐらいに堅い動作で視線を織から、僕へと移動して、言った。

「……幹也?」
「ち、違う、そんなこと言ってないよ?!」
どういうことか。事と次第によってはただじゃ置かない―――と、視線だけで雄弁に告げる彼女に、僕は大あわてで首を横に振りまくる。だが、しかし。

「黒桐。嘘はいけないぞ」
そんな僕の否定を横合いから、あっさりと橙子さんが否定してのけた。

「って、所長! そんな根も葉もないことを―――」
「残念だがね、黒桐。これに関しては「根も葉もある」んだよ」
「へ?」
「空の境界(中)文庫版 P208を見てみろ。ほら」
そういって橙子さんは一冊の文庫本を投げ渡し、それを受け取った僕は大あわてで言われたページをめくり、のぞき込む。そこには……

  「たとえ、式が織でも、自分の気持ちは変わらないと思うよ」


「……幹也?」
「いや、これは」
殺す。
全身でびしびしと殺意をみなぎらせる式に、僕は必死の思いで「誤解だ」と首を振った。

「だから、これはそういう意味じゃ―――」
「ないのか? コクトー?」
「いや、そうなんだけどって、いや、そうじゃなくて」
これは鮮花に対する発言であって、そもそも式と織を区別するような発言じゃなくて、だから浮気とか二股とかその手の発言ではないのであって―――。

「あきらめろ。黒桐。二股発言が記録されている以上、どうしようもない」
「だから、これはそういう意味じゃなくてですね?!」
だめ押しするような橙子さんの声に、いい知れない絶望を感じながらも、なおも僕は声を張り上げる。

「幹也」
「だから、これは」
だけど、その抗議は。

「お仕置きだ」

底冷えするような、その声とともに。


僕の意識はとぎれたのだった。




「……連れて行かれたか」
「あはは。やっぱり、コクトーは面白いな」
「多少は満足したかね」
「ま、遊びにかり出された分ぐらいは楽しめたよ」

「ちなみに、あの台詞は本気なのか、と聞くのは無粋かな」
「無粋だよ。まあ……」


「式が好きなものは、織も好きだって言うのは……多分、変わらない真実だけどさ」


――――――
(お仕舞い)

小ネタにしても、あんまりなネタですが(汗。
なんとなく織と式の姉妹喧嘩みたいなものが書きたくなったというか、それだけのお話。
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SS | 【2008-01-24(Thu) 01:03:20】 | Trackback:(0) | Comments:(4)
コメント

卑怯過ぎる!!!!!もう、何てもの書き上げるんですか!!!素直にありがとうございました!!!!!
2008-01-28 月 11:29:03 | URL | #- [ 編集]

コメントありがとうございますー。

煩悩の赴くままに書いたらああなったり。織かわいいよ織。
2008-01-28 月 23:29:49 | URL | 須啓 #- [ 編集]

須啓さん凄すぎです。

こんな面白い話を書ける煩悩
羨ましいですw

式さんが女口調で一瞬書き間違え?
と思いましたけど、彼女が何故
男口調になったのか・・・その理由・・・
それを想うと結構感動しました。

このように、キャラが自分達の
作品にコメントする話は、間違えなければ
凄く面白い話になりますね。

アーネンエルベの一日はそういう
作風でしたけど、肝心のキャラが
壊れていたので残念でしたけど・・・

それにしても、須啓さんの橙子さんは
黒桐さんイジリに関しては、
物凄い貪欲ですねwww
原作を知っているからこそ
「あ~やりそうだなぁ・・・」と、
思えますね。

しかし、織さんの「えっちしようぜ」
にはビックリしましたw
だって織さん中身は男性なのに・・・
黒桐さんが禁断の世界に!!

それと少し残念なのが、式さんが
最後の「お仕置きだ」と
男口調になってしまったことですね。
最後まで女口調で通して欲しかったですね。


ちなみに、「ツンデレ」は知っていましたけど、「素直クール」は初めて聞きました。
2008-01-30 水 17:55:11 | URL | 毅 #- [ 編集]

>毅さん。
煩悩全開な品ですが、楽しんでいただけたのなら嬉しいです(笑

>最後まで女口調で通して欲しかったですね。
それは確かにそうだったかも。言われて納得しました。今後の参考にさせていただきます。

>「素直クール」
世の中いろんな属性があるものだなあ、と知ったときには感心した覚えがあります(笑。
「ツンギレ」「ヤンデレ」などなど。
2008-01-31 木 00:20:24 | URL | 須啓 #- [ 編集]
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